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 『夜行巡査』 青空文庫

「へい、まことにびっくりいたしました。巡査《おまわり》さんに咎められましたのは、親父《おやじ》今がはじめてで、はい、もうどうなりますることやらと、人心地《ごこち》もござりませなんだ。いやもうから意気地《いくじ》がござりません代わりにゃ、けっして後ろ暗いことはいたしません。ただいまとても別にぶちょうほうのあったわけではござりませんが、股引きが破れまして、膝から下が露出《むきだ》しでござりますので、見苦しいと、こんなにおっしゃります、へい、御規則も心得ないではござりませんが、つい届きませんもんで、へい、だしぬけにこら! って喚かれましたのに驚きまして、いまだに胸がどきどきいたしまする」

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