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 『星あかり』 泉鏡花を読む

 門の左側に、井戸が一個。飲水ではないので、極めて塩ツ辛いが、底は浅い。屈むでざぶ/\、さるばうで汲み得らるゝ、石畳で穿下した合目には、此のあたりに産する何とかいふ蟹、甲良が黄色で、足のい、小さなのが数限なく群つて、動いて居る、毎朝此の水で顔を洗ふ。一杯頭から浴びようとしたけれども、あんな蟹は、夜中に何をするか分らぬと思つてやめた。

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