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 『親子そば三人客』 従吾所好

「まあ、松助にそツくりだよ。嬉しいねえ、」と擦寄つたが、いきなり唐桟の羽織を請け取つて、手にのせると、肱のあたりがヒヤリとした。
「おゝ、冷い、雨にあつたの、様預つて置きませう。」
「へい、お値段を此処で、」といつて、件の壮佼はフイと立つてがらりと戸をあけた。立てかけてあつた、番傘がはずみで、ばツさり。見向きもしないで、影が消えたやうにポンと出た。

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