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 『日本橋』 青空文庫

 赤熊のこの容態では、成程|立聴をする隠れ場所に、見世物小屋を選ばねばならなかったろう、と思うほど、薄気味の悪い、その見世物は、人間の顔の尨犬であった。
「それは、もし、万ヶ一ほんとうに仰有って遣わされたにしました処で、私は始めからその気では聞きませなんだよ。」
「どうでも可い。それは構わんが、俺が聞きたいのは、お前んに後から来い、と云うて、先へ行ったその家の名ですわい。自分の内でない事は知れておる。……そりゃどこですかい、阿爺どの。」

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