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 『五大力』 従吾所好

 面を着けて、面を被つて逢はうと思ふ。尤も、面は外にも多い。同じ浮草の模写〈うつし〉と云ふのも、二つ三つは心得て家にあるが、中にも第一の名品を選んだは、先方が芸人ゆゑに、其の芸に対する礼儀だ。
 西石垣〈さいせき〉のお花を狙ふ坊主ではなけれども、謡講中のお布施をくすねて、柳橋へ獺で出た……化ものとでも言はれう事か、粋な年増がお爺様、若い妓〈こ〉に御隠居様、と言はれてな、最う弗〈ふツつ〉りと其つ切、粉の香を知らぬ事、それから丁ど、やがて十年……

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