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 『人魚の祠』 青空文庫

 が、其の姿が、水に流れて、柳を翠の姿見にして、ぽつと映つたやうに、人の影らしいものが、水の向うに、岸の其の柳の根に薄墨色に立つて居る……或は又……此処の土袋《どぶつ》と同一《おなじ》やうな男が、其処へも出て来て、白身《はくしん》の婦人《をんな》を見て居るのかも知れません。
 私も其の一人でせうね……
(や、待てい。)

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