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『婦系図』
青空文庫
とばかり怯《おび》えるように差出した三世相を、ものをも言わず引掴《ひッつか》んで、追縋《おいすが》って跡に附くと、早や五六間前途《むこう》へ離れた。
「どうも恐入ります。ええ、何、別に入用《いりよう》なのじゃないので
ござ
いますから、はい、」
と最初の一喝に怯気々々《びくびく》もので、申訳らしく独言《ひとりごと》のように言う。
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