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 『日本橋』 青空文庫

(お爺さん虞美人草はないの、ぱっと散る。)桜草の前へ立った時、……お孝に挨拶をした爺さんが、(これは旦那様。)とその時葛木にお辞儀をしたので、
 地蔵様へお参りして、縁を結んで来た矢前――旦那様は嬉しいね――で、それから引上げる、待合の名をそこで教えて、旦那様に見立ててくれた礼心に、お爺さんには今夜一晩、……私が玉をつけて可愛いお千世を抱かして上げよう。……来て一所にお寝、串戯じゃない、きっと待ってる。……と云った。

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