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『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径
「飛《とん》でもない。この団子でも石になれば、それで村方勧化でもしようけれど、生憎三界に家なしです。
しかし今聞いたようでは、さぞお前さんがたは寂しかろうね。」
「はい、はい、否《いえ》、御坊様の前で申しましては、お追従のようでござりますが、仏様は御方便、難有いことでござります。こうやって愛想気《あいそっけ》もない婆々が許《とこ》でも、お休み下さります御人たちに、お茶のお給仕をしておりますれば、何や彼や賑やかで、世間話で、ついうかうかと日を暮らしますでござります。」
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