検索結果詳細


 『天守物語』 泉鏡花を読む

  時に棟に通ずる件《くだん》の階子《はしご》を棟よりして入来《いりきた》る、岩代国耶麻郡猪苗代の城、千畳敷の主、亀姫の供頭《ともがしら》、朱の盤坊、大山伏《おほやまぶし》の扮装《いでたち》、頭に犀の如き角一つあり、眼《まなこ》円《つぶら》かに面の色朱よりもく、手と脚、瓜に似て青し。白布《しろぬの》にて蔽うたる一個の小桶を小脇に、柱をめぐりて、内を覗き、女童の戯るゝを視《み》つゝ破顔して笑ふ。

 103/480 104/480 105/480


  [Index]