検索結果詳細
『薬草取』
青空文庫
と撫肩《なでかた》の優しい上へ、笠の紐弛《ゆる》く、紅《べに》のような唇をつけて、横顔で振向《ふりむ》いたが、清《すず》しい目許《めもと》に笑《えみ》を浮べて、
「どうして貴方《あなた》はそんなにまあ唐天竺《からてんじく》とやらへでもお出《い》で遊ばすように遠い処とお思いなさるので
ござ
いましょう。」
高坂は手なる杖を荒く支《つ》いて、土を騒がす事さえせず、慎《つつし》んで後《あと》に続き、
104/283
105/283
106/283
[Index]