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 『五大力』 従吾所好

「いづれ附添も来ようが、其は別に控へさせて、別嬪だけ舞台へ連れろ。こゝに、小面、泣蔵、美女の面が数ある。浮草小町の模写もある。四天王の面々に、老いたれども独武者よ、俺ともに五人な、同じ面を並べて見せるわ、一念なれば見分けが着かう。其の中から、其の女に此の名品を選ばせろ、見事見分けたれば……確〈しか〉と譲らう。
 よし又、ものを見損じて、今出来の面に手を掛ければ、其以て尚ほ仔細ない。当人の心さへ済めば重畳ぢや。むゝ!……」
 と又ハタと手を拍つたが、辷ると他愛なく膝に支いて、

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