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 『日本橋』 青空文庫

 潮を踏んだ飴屋は老功。赤い涎掛を荷の正面へ出して、小児の捌口へ水を向ける。
「僕の事かい。」
 と猶予いながら、笹ッ葉の竹棹を、素直に支いた下に、鬢のほつれに手を当てて、おくれを掻いた若い妓の姿は、願の糸を掛けた状に、七夕らしく美しい。

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