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 『五大力』 従吾所好

 太郎冠者、やゝあつて、威儀を正し、膝にしやんと手をつき、
「御上覧以来のお催し、一段でござる。」
 ――其の上覧の時や如何に。何時の催しにも、恁ばかりと思ふ、森厳なる威儀を正して、黒小袖、勝色小袖、十の袂、袴の色々、五ツの綾、黛同じ上〓〈らふ〉が、冷たき霜の橋がかりを、雲の深山の松の影。二の松、三の松かけて、足に落葉の塵もなく、墨絵の天女の俤揃へて、錦の帳〈とばり〉を出でたるぞ。浮草小町は誰ならむ。

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