検索結果詳細
『五大力』 従吾所好
潜りを入ると、深き楽屋の大姿見に、二人の姿がちらりと映つて、其から、やがて橋がかりを手を曳いたが、背後へ廻つて、静と据ゑる。……霞が舞台に着いた時、お縫は小走りに引返して、高台を背後に、小弥太が彳〈たゝず〉んだ傍へ来た。
其の時、予て差置いた、舞台に五ツ、用意の床几、葛桶〈かつらをけ〉はありながら、袖を聯ねて、端然と立つて居た。五人の中に、大鼓〈おおかは〉の座のあたり、一人正面に向直ると、剣の如く鍛へた声して、
1086/1139
1087/1139
1088/1139
[Index]