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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 「可かあねえ、私《わし》、此処に待っとるで、燈《あかり》をたよりに出て来さっせえ。
 私《わし》も、この障子の多《いか》いこと続いたのに、めらめら破れのある工合が、ハイ一ツ一ツ髑髏《しゃれこうべ》のようで、一人で立ってる気はしねえけんど、お前様《めえさま》が坊様だけに気丈夫だ。えら茶話がもてて、何度《なんたび》も土瓶をかわかしたで、入《いれ》かわって私《わし》もやらかしますべいに、待ってるだよ。」

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