検索結果詳細
『外科室』
青空文庫
ことのここに及べるまで、医学士の挙動脱兎《だっと》のごとく神速にしていささか間《かん》なく、伯爵夫人の胸を割《さ》くや、一同はもとよりかの医博士に到るまで、言《ことば》を挟《さしはさ》むべき寸隙とてもなかりしなるが、ここにおいてか、わななくあり、面を蔽うあり、背向《そがい》になるあり、あるいは首《こうべ》を低《た》るるあり、予のごとき、われを忘れて、ほとんど心臓まで寒くなりぬ。
109/165
110/165
111/165
[Index]