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『天守物語』
泉鏡花を読む
女童二 可恐《こは》くはありませんよ。
朱の盤 だゞゞだゞ。(濁れる笑《わらひ》)いや、さすがは姫路お天守の、富姫御前の禿《かむろ》たち、変化心《へんげごころ》備はつて、奥州第一の赭面《あかつら》に、びくともせぬは我折《がお》れ申す。――さて、更めて内方《うちかた》へ、ものも、案内を頼みませう。
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