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 『五大力』 従吾所好

 孫六の爪先が、葛桶にじりゝと動いて、腰掛けたまゝ、此方に直つて、面を霞に向けたと見るや、肩に爽かに気が入つた。が、何とかしけむ、着けたる面を、衝と脱ぎ、手に持ち、袖に当てて俯けると、老の素面をあからさまに、矢右衛門が扇に宿して、
面に映す、其の俤は尊かつた。
「あゝ、美しい、綺麗な顔が、あら、あら流れて、それ、此処に、あれ、」

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