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『五大力』
従吾所好
と、霞は清しく声を立てると、はつと船を出て、熟と見て、面を合はせ、する/\と摺寄つて、仰いで若旦那の膝に縋つた。
老の皺手も
美
しく、其時霞の肩を抱き、
「おゝ、舞台に映つた、私の素面が美しいか。むゝ美しいな。やあ、お女中。其の目を閉ぢるな、瞳を散らすな、一念確に鏡を見て見よ、少しも両眼に異状ない、それ/\。」
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