検索結果詳細


 『人魚の祠』 青空文庫

 ――私が息を切つて、頭《かぶり》を掉《ふ》ると、
(分らんかい、痴《たはけ》めが。)と、ドンと胸を突いて、突倒《つきたふ》す。重い力は、磐石であつた。
(又……遣直《やりなほ》しぢや。)と呟《つぶや》きながら、其の蚤の巣をぶら下《さ》げると、私が茫然とした間に、のそのそ、と越中褌の灸のあとの有る尻を見せて、そして、やがて、及腰《およびごし》の祠の狐格子を覗くのが見えた。

 110/122 111/122 112/122


  [Index]