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『人魚の祠』
青空文庫
――私が息を切つて、頭《かぶり》を掉《ふ》ると、
(分らんかい、
白
痴《たはけ》めが。)と、ドンと胸を突いて、突倒《つきたふ》す。重い力は、磐石であつた。
(又……遣直《やりなほ》しぢや。)と呟《つぶや》きながら、其の蚤の巣をぶら下《さ》げると、私が茫然とした間に、のそのそ、と越中褌の灸のあとの有る尻を見せて、そして、やがて、及腰《およびごし》の祠の狐格子を覗くのが見えた。
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