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 『五大力』 従吾所好

 と声に力が篭つて、宝生雲の舞扇を、すらりと開いて、差寄すれば、金色の雲にきらりと映る、花の霞の暮れ行く顔が、瞼に颯と色を染めた。
「まあ……」
 とわな/\と震へたまゝ、背も高うすつくと立つと、古稀を過ぎた若旦那、健かに腰を切つて、映るを見よとか、姿見に、舞扇子を屹と霞に向けて、粛然として立つたる有様、修羅八万の矢表に、毘沙門天が黄金の楯。

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