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 『化鳥』 青空文庫

そしてまだ如彼《あゝ》濡れては寒いだらう、冷《つめ》たいだらうと、さきのやうに雨に濡れてびしよ/\行くのを見ると気の毒《どく》だつたり、釣をして居る人がおもしろさうだとさう思つたりなんぞしたのが、此節《このせつ》じやもう唯変《へん》な簟《きのこ》だ、妙《めう》な猪《いぬしゝ》の王様《わうさま》だと、をかしいばかりである、おもしろいばかりである、つまらないばかりである、見ツともないばかりである、馬鹿々々しいばかりである、それからみいちやんのやうなのは可愛らしいのである、吉公《きちかう》のやうなのはうつくしいのである、けれどもそれは雀がうつくしいのと、目白が可愛らしいのと些少《ちつと》も違ひはせぬので、うつくしい、可愛らしい。うつくしい、可愛らしい。

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