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 『薬草取』 青空文庫

 人は高坂の光《みい》、私の名ですね、光坊《みいぼう》が魔に捕《と》られたのだと言いました。よくこの地で言う、あの、天狗《てんぐ》に攫《さら》われたそれです。また実際そうかも知れんが、幼心《おさなごころ》で、自分じゃ一端《いっぱし》親を思ったつもりで。
 まだ両親《ふたおや》ともあったんです。親が大病で、暑さの取附《とッつき》にはもう医者が見放したので、どうかしてそれを復《なお》したい一心で、薬を探しに来たんですな。」

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