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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 「お爺さん、」
 と呼んだのが、驚破《すわや》事ありげに聞えたので、手んぼうならぬ手を引込め、不具《かたわ》の方と同一《おなじ》処で、掌をあけながら、据腰で顔を見上げる、と皺面ばかりが燭《あかり》の影に真になった。――この親仁と、青坊主が、廊下はずれに物言う状《さま》は、鬼が囁くに異ならず。

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