検索結果詳細


 『日本橋』 青空文庫

 ここに、朝顔形の瀬戸の手鉢が有るんです。これがまた清葉が寄進に附いたのさ。お鹿の内には、まだ開業当時というので手鉢も柄杓も無かった。湯殿の留桶にを汲んで、簀の子の上に出してある。恐らく待合の手鉢に柄杓の無いのは、厠に戸の無いより始末が悪い。右は早速|調達に及んだけれど、桶はそのままになっていたのを、清葉が心付いて、いつか、女房が勘定を届けか何か、滝の家へ出向いた時、火事見舞に貰ったのが、まだ使わないで新しい、お役に立てば、と持たして返した。……

 1132/2195 1133/2195 1134/2195


  [Index]