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『親子そば三人客』 従吾所好
「旦那、まあ、御覧なせえ、」とビクともせず、内懐から、取出して、片手業で紙包、開いて掌に据ゑたのを、真砂町の原の角あたりから、一筋の赤い虹の如く、暗を貫く瓦斯燈の燈に、唯見れば美しい半襟であつた。
「馬鹿といや、まア馬鹿でごぜえすがね、あんまり娘の罪の無さ。短刀〈ドス〉で威したら、虫がかぶらう、俳優だと思つて嬉しがるか、どツちにしても仕事は出来ねえと、狙つた的をフイにして、土産を持つて、寐ねえうちに、これからね、羽織を取りに引返す処でさ。
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