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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 「野郎、入《へえ》って見やがれ、野郎、活仏《いきぼとけ》さまが附いてござるだ。」
 「仏ではなお打棄《うっちゃ》っては措かれない、人の声じゃ、お爺さん、明けて見よう、誰か苦《くるし》んでいるようだよ。」
 「これ、静かにさっせえ、術《て》だ、術《て》だてね。ものその術《て》で、背負引《しょぴ》き出して、お前様《めえさま》天窓《あたま》から塩よ。私《わし》は手足い引捩《ひんも》いで、月夜蟹で肉《み》がねえ、と遣ろうとするだ。ほってもない、開けさっしゃるな。早く座敷へ行きますべい。」

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