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 『五大力』 従吾所好

 ト侠な松と、もじや/\の頭が、前後に立つて、殊勝にも附合ふ風情は、御近所なれば恐多いが、かの二体の御前立が、やれ/\不便や、と半ばは愍〈あはれ〉み、困つた男だ、と半ばは持余して体を引立てようにもしつこし*しつこし傍点 のない、村芝居の文覚のくだを巻くのを聞役の光景〈ありさま〉である。
「たゞし今だから、然うは云ふものの、誰も途中で出合ひ頭に、――これは何方へ、――と声を掛けられて、影法師を探すんです、――と云ふものもないからね、――
(柄にはありませんが、深川の方へ越さうかと思つて、安値い、家〈うち〉を探しに、)

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