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 『婦系図』 青空文庫

 一場展開した広小路は、二階の燈《ひ》と、三階の燈と、店の燈と、街路の燈と、蒼《あお》に、萌黄に、に、寸隙《すきま》なく鏤《ちりば》められた、綾《あや》の幕ぞと見る程に、八重に往来《ゆきか》う人影に、たちまち寸々《ずたずた》と引分けられ、さらさらと風に連れて、鈴を入れた幾千の輝く鞠となって、八方に投げ交わさるるかと思われる。

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