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 『活人形』 鏡花とアンティークと古書の小径

 無慙やなお藤は呼吸《いき》も絶々《たえ/゛\》に、紅顔蒼白く変りつゝ、苛責の苦痛に堪へざりけむ、「ひい、殺して下さい殺して。と、を決したる処女《をとめ》の心。よしや此儘撲殺《うちころ》すとも、随ふべくも見えざれば、得三殆ど責倦《せめあぐ》みて、腕を擦《さす》りて笞《しもと》を休《や》めつ。老婆はお藤を突放せば、身を支ふべき気力も失せて、はたと僵《たふ》れて正体無し。

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