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『薬草取』 青空文庫
相応《そうおう》に流行《はや》って、薬取《くすりとり》も多いから、手間取《てまど》るのが焦《じれ》ったさに、始終行《ゆ》くので見覚えて、私がその抽斗《ひきだし》を抜いて五つも六つも薬局の机に並べて遣《や》る、終《しまい》には、先方《さき》の手を待たないで、自分で調合をして持って帰りました。私のする方が、かえって目方《めかた》が揃《そろ》うくらい、大病だって何だって、そんな覚束《おぼつか》ない薬で快くなろうとは思えんじゃありませんか。
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