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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 白魚の指の尖の、ちらちらと髪を潜って動いたのも、思えば見えよう道理はないのに、的切《てっきり》耳が動いたようで。
 驚破《すわ》、獣《けだもの》か、人間か。いずれこの邸を踏倒そう屋根住居してござる。おのれ、見ろ、と一足退《すさ》って竹槍を引扱き、鳥を差《さ》いた覚えの骨《こつ》で、スーッ! 突出した得物の尖が、右の袖下を潜るや否や、踏占めた足の裏で、ぐ、ぐ、ぐ、と声を出したものがある。

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