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『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径
仁右衛門ぶるぶるとなり、据眼《すえまなこ》に熟《じっ》と見た、白い咽喉《のんど》をのけ様《ざま》に、苦痛に反らして、黒髪を乱したが、唇を洩る歯の白さ。草に鼻筋の通った顔は、忘れもせぬ鶴谷の嫁、初産《ういざん》に世を去った御新姐である。
親仁は天窓《あたま》から氷を浴びた。
恐しさ、怪しさより、勿体なさに、慌てて踏んでいる足を除《ど》けると、我知らず、片足が、またぐッと乗る。
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