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『婦系図』
青空文庫
「そう目前《めさき》が利かないから、お茶を挽《ひ》くのよ。当節は女学生でも、今頃は内には居ない。ちっと日比谷へでも出かけるが可い。」
「憚様《はばかりさま》、お座敷は宵の口だけですよ。」
と姿見の前から座蒲団をするりと引いて、床の間の横へ直した。
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