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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 同一《おなじ》処を蠢く処へ、宰八の声が聞えたので、救助《たすけ》を呼ぶさえ呻吟《うめ》いたのであった。
 かくて、手を取って引立てられた――宰八が見た飛石は、魅せられた仁右衛門の幻の目に、即ち御新姐の胸であったのである、足もまだ粘々《ねばねば》する、手はこの通り血だらけじゃ、と戦いたが、行燈に透かすと夜露に曝《さ》れてけていた。

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