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『高野聖』 泉鏡花を読む
それからがく/\して歩行くのが少し難渋になつたけれども、此処で倒れては温気で蒸殺されるばかりぢやと、我身で我身を激まして首筋を取つて引立てるやうにして峠の方へ。
何しろ路傍の草いきれが可恐しい、大鳥の卵見たやうなものなんぞ足許にごろごろして居る茂り塩梅。
又二里ばかり大蛇の蜿るやうな坂を、山懐に突当つて岩角を曲つて、木の根を繞つて参つたが此処のことで余りの道ぢやつたから、参謀本部の絵図面を開いて見ました。
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