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 『半島一奇抄』 青空文庫

「自動車が持つ、ありたけの音を、最高度でやッつけたまえ。」
 と記者が云った。
 運転手は踊躍《こおどり》した。もの凄《すさ》まじい爆音を立てると、さすがに驚いたように草が騒いだ。たちまち道を一飛びに、鼠は海へ飛んで、赤島に向いて、碧色《へきしょく》の波に乗った。

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