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 『夜叉ヶ池』 青空文庫

百合 はい、お代のかわりに頂きます。貴客《あなた》には限りませず、薬売の衆、行者《ぎょうじゃ》、巡礼、この村里の人たちにも、お間に合うものがござんして、そのお代をと云う方には、誰方《どなた》にも、お談話を一条《ひとつ》ずつ伺います。沢山《たんと》お聞かせ下さいますと、お泊め申しもするのでござんす。
学円 むむ、これこそ談話じゃ。(と小膝《こひざ》を拍《うっ》て)面い。話しましょう。……が、さて談話というて、差当り――お茶代になるのじゃからって、長崎から強飯《こわめし》でもあるまいな。や、思出した。しかもこの越前《えちぜん》じゃ。

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