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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 と熟《じっ》と顔を見ると、明の、眦の切れた睫毛の濃い、目の上に、キラキラとした清い玉は、同一《おなじ》雨垂れに濡れたか、あらず。……
 来方《こしかた》は我にもあり、但御身は髪黒く、顔きに、我は頭《かしら》蒼く、面《つら》の黄なるのみ。同一《おなじ》世の孤児《みなしご》よ、と覚えずはふり落ちた法師自身の同情の涙の、明の夢に届いたのである。

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