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 『日本橋』 青空文庫

 私は気が付くと、その夜、――後で妹の話を聞いて慄然して飛んで出たが、猫行火に噛着いていて、豆煎を頬張ったが、余り腹が空いて口が乾いて咽喉へ通らないから、番茶をかけて掻込んだって。
 内職の片手間に、近所の小女に、姉が阪東を少々、祖さんが宵は待ぐらいを教えていたから、豆煎は到来ものです。
(白酒をおあがり、晋ちゃん、私が縁起直しに鉢の木を御馳走しよう。)と、錻落しの長火鉢の前へ、俎と庖丁を持出して、雛に飾った栄螺と蛤をおろしたんだ。

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