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 『化鳥』 青空文庫

うまいこと知《しつ》てるな、ぢいさん。ぢいさんと母様《おつかさん》と私《わたし》と三人《さんにん》だ。其時ぢいさんが其まんまで控綱《ひかへづな》を其処《そこ》ン処《とこ》の棒杭《ばうぐひ》に縛《しば》りツ放《ぱな》しにして猿をうつちやつて行かうとしたので、供《とも》の女中《ぢよちう》が口を出して、何うするつもりだつて聞いた。母様《おつかさん》もまた傍《そば》からまあ捨児《すてご》にしては可哀想《かあいさう》でないかツて、お聞きなすつたら、ぢいさんにや/\と笑つたさうで、
(はい、いえ、大丈夫《だいじやうぶ》でござります。人間をかうやつといたら、餓ゑも凍《こゞ》ゑもしやうけれど、獣《けだもの》でござりますから今に長い目で御覧《ごらう》じまし、此奴《こいつ》はもう決してひもじい目に逢ふことはござりませぬから)

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