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 『活人形』 鏡花とアンティークと古書の小径

 幕の内なる泰助さへ、此声を怪しみぬ。前にも既に説《い》ふ如く、此人形は亡きとして姉妹《あねいもうと》が慕ひ斉眉《かしづく》物なれば、宇宙の鬼神感動して、仮に上臈の口を藉《か》りかゝる怪語を放つらむと覚えず全身粟生《あはだ》てり。況《ま》して得三高田等は、驚き恐れ怪しみて、一人立ち、二人立ち、次第に床の前へ進み、熟《じつ》と人形を凝視《みつめ》つゝ三人《みたり》は少時《しばらく》茫然たり。

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