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 『日本橋』 青空文庫

「はい。」
 と立って、脛をするすると次の室へ。襖を閉めようとしてちょっと立姿で覗く。羽二重のなるに、緋で渦巻を絞ったお千世のその長襦袢の絞が濃いので、乳の下、鳩尾、窪みに陰の映すあたり、鮮に血汐が染むように見えた――俎に出刃を控えて、潰島田の人形を取って据えたその話しの折のせいであろう。

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