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 『五大力』 従吾所好

 頼むやうにして断つた。車は血の道に障る、と云つてね。」
「措きやがれ。」
 と、人知れず自棄に呟いたのは、其処に、茶飯屋の前に乗棄てられた、矢輻〈やぼね〉が硝子〈ビイドロ〉のやうに透通るまで、冷渡つた俥である。乾びた木の葉でも飛んで乗れ、発奮に勝手に駈出しさうな、霜に堪へざる状〈さま〉があつた。

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