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『春昼後刻』
泉鏡花を読む
要らんおせつかいを申上げたのが、見苦しかつたら然うおつしやい。此お関所をあやまつて通して頂く――勧進帳でも読みませうか。それでいけなけりや仕方がない。元の巌殿へ引返して、山越で出奔する分の事です。」
と逆寄せの決心で、然う言つたのをキッカケに、どかと土手の草へ腰をかけたつもりの処、負けまい気の、魔ものの
顔
を見詰めて居たので、横ざまに落しつける筈の腰が据らず、床几を辷つて、ずるりと大地へ。
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