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『草迷宮』
鏡花とアンティークと古書の小径
その俤や、俤や――
紙を通して障子の彼方に、ほの
白
いその俤が……どうやら透いて見えるようで、固くなった耳の底で、天の高さ、地の厚さを、あらん限り、深く、遥に、星の座も、竜宮の燈も同一《おなじ》遠さ、と思う辺《あたり》、黄金の鈴を振る如く、唯一声、コロリン、と琴が響いた。
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