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 『木の子説法』 青空文庫

 すぐ角を曲るように、樹の枝も指せば、おぼろげな番組の末に箭《や》の標示がしてあった。古典な能の狂言も、社会に、尖端《せんたん》の簇《やじり》を飛ばすらしい。けれども、五十歩にたりぬ向うの辻の柳も射ない。のみならず、矢竹の墨が、ほたほたと太く、蓑《みの》の毛を羽にはいだような形を見ると、古俳諧にいわゆる――狸を威《おど》す篠張《しのはり》の弓である。
 これもまた……面い。
「おともしましょう、望む処です。」

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