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『古狢』
青空文庫
「力は入るね、尾を取って頭を下げ下げ、段々に糶《せ》るのは、底力は入るが、見ていて陰気だね。」
と黒い外套《がいとう》を着た男が、同伴《つれ》の、意気で優容《やさがた》の円髷《まるまげ》に、低声《こごえ》で云った。
「そう。でも大鯛をせるのには、どこでもああするのじゃアありません？……」
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