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 『海神別荘』 華・成田屋

僧都  一段とお見事じゃ。が、朝ほど御機嫌伺いに出ました節は、御殿、お腰元衆、いずれも不断の服装(なり)でおいでなされた。その節は、今宵、あの美女がこれは輿入の儀はまだ極らなんだ。じたい人間は決断が遅いに因ってな。・・・それじゃに、かねてのお心掛か。弥(いや)疾く装(なり)が間に合うたもののう。
侍女一  まあ、貴老(あなた)は。私たちこの玉のような皆の膚は、白い尾花の穂を散らした、山々の秋の錦が水にると同じに、こうと思えば、ついそれなりに、思うまま、身の装(よそおい)の出来ます体でおりますものを。貴老はお忘れなさいましたか。

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